簿記検定いろいろあるけど、どれを受験すればよいの?
昔から”英検”こと『英語検定』や”漢検”こと『漢字検定』に次いで有名な『簿記検定』。
英検などと同様、民間の団体が主催する簿記の検定試験の事ですが、英検といえば日本英語検定協会主催の実用英語技能検定のことだと想像すると思いますが、簿記検定は様々な団体が主催するものがあり、どの試験を受験すればよいのか分からない方がいらっしゃると思いますので、解説していきます。
簿記検定試験の代表的な試験は『3大簿記試験』と言われている、日商簿記、全経簿記、全商簿記の3つがあります。
目次
1.日商簿記
一番有名な簿記試験といえば日本商工会議所が主催する日商簿記検定です。
求人案内等で簿記〇級以上と書かれているものは、この日商簿記のことを指していることが一般的で、他の簿記検定が”求人の必要資格の欄”に載っていることはまず無いでしょう。(最近では求人案内も日商簿記〇級とちゃんと書いてあるところが多くなっております。)
また、1級合格者には『税理士試験の受験資格』も与えられます。
これから簿記試験を受けようとされる方は、こちらの日商簿記試験を受験されることをお勧めします。
まずは最低限の評価となる3級の取得からおすすめします。1級は使える場面が限られますので、3級のあと、2級まで取得すれば通常の就職の際には十分です。
ただし、最近の2級検定試験はかなりの難化傾向にありますので、現段階では取得にかなりの心構えが必要です。
2.全経簿記
こちらは社団法人全国経理教育協会が主催する会計系専門学校生に向けて行われている簿記検定試験です。
全経簿記能力検定は1級の上に上級というのがあり、『日商簿記1級』と『全経簿記上級』が同程度となっており、その下の級は日商簿記より難易度が細かく分かれている印象です。
こちらの上級合格者も『税理士試験の受験資格』が与えられます。
全経簿記能力検定は日商簿記検定より問題の出し方が素直な印象があり、難易度も少しだけ易しいので、まじめに努力された方にはちゃんと結果が出る試験という印象があります。
日商簿記試験の予行練習のためや税理士試験の受験資格取得のために受験するのが良いかと思われます。
3.全商簿記
こちらは全国商業高等学校協会が主催する商業高校生向けの検定試験で、受験する方の大半が商業高校生で日商簿記よりは比較的難易度の低い試験であり、よく『日商簿記2級』と『全商簿記1級』が同程度と言われたりします。
商業高校に通う生徒さん達は、こちらの簿記検定と日商簿記検定を在学中に受験します。
全商簿記1級合格を推薦入試の基準にしている大学もあり、商業高校生が高校での学習の成果を確認するための試験とも言えるでしょう。
4.その他
最近は一時期の会計資格ブームのように簿記検定試験が乱立はされておりませんが、他にも日本ビジネス協会や各種専門学校など様々な団体が主催する簿記検定試験がありますが、何かの機会やいろんな試験を受けてみたい方以外は受験するのは上記の検定試験のみで良いかもしれません。
ただし、通常の簿記の処理とは少しルールが異なる業種に特化した簿記試験もあり、建設業の簿記試験の『建設業経理検定』や社会福祉・介護業界の簿記試験の『社会福祉会計簿記認定試験』、農業の簿記試験の『農業簿記検定』などがあり、こちらは通常の簿記の知識に各業界特有の論点を少し勉強すると合格できる試験で等級も日商簿記試験と同難易度もしくは少し易しいくらいに設定されているものが多く、「建設業経理検定」のように取得者を採用することで採用する会社にもメリットとなる制度がある資格もあるので(1級、2級の取得者の数が公共工事の入札可否の判断の資料となる経営事項審査の評価対象の1つになる)、日商簿記試験を目指しつつ就職したい業界の簿記試験がある場合はそちらの検定試験も取得しておくと、その業界の就職の際にアドバンテージになるでしょう。
5.まとめ
いかがだったでしょうか。簿記検定は本当に様々な検定があり、あまり知らない方にとっては、何を受験して良いかわからない方もいると思いますので、一般的に言われている簿記検定の受け方の指標を書いておきます。
基本としては、特定の簿記検定を取得する必要がある人以外は日商簿記検定を取得しましょう。就職の際、企業が判断する指標は日商簿記検定のみと考えて間違いないくらいの認知度です。
それに加え全経簿記検定を日商簿記検定の予行練習や補助、税理士受験資格を取得するため補助として受験するのが良いでしょう。
また、就職したい業界特有の簿記試験がある場合は、そちらの業種特化の検定試験もあわせて受験しておくとアドバンテージになるでしょう。