第27回(2020年(令和2年)9月13日実施)建設業経理士試験 2級 第1問・第2問の解答速報?・解説
今回は2020年9月13日に実施された第27回建設業経理士試験の2級試験の第1問・第2問の解答速報?・解説を作成してみました。
目次
解答
第1問(20点)各4点
(1)X 投資有価証券評価損 180,000 / F 投資有価証券 180,000
(2)Q 繰越利益剰余金 4,000,000 / J 未払配当金 2,000,000
/ M 利益準備金 200,000
/ N 別途積立金 1,800,000
(3)S 修繕費 500,000 / E 建物 500,000
(4)K 貸倒引当金 30,000 / D 完成工事未収入金 1,500,000
T 貸倒損失 1,470,000 /
(5)G 工事未払金 3,000,000 / A 現金 2,985,000
/ U 仕入割引 1,500
第2問(12点)各4点
(1)¥ 100,000 (2)¥ 300,000
(3)¥ 180,000 (4)¥ 7,500,000
解説
第1問(20点)各4点
(1)X 投資有価証券評価損 180,000 / F 投資有価証券 180,000
『長期で保有していた非上場株式』の勘定科目は「関係会社株式」と「投資有価証券」が考えられるが、語群より「投資有価証券」に該当と判断。
『投資有価証券』は有価証券の固定資産項目で、(1年以内満期到来分を除く)満期保有目的債権・その他有価証券をまとめた勘定科目(B/S表示科目)。
「取得価額」が1株300円だったが「当期末における1株当たり純資産額」が120円に下落(180円下落)。
⇒180÷300=0.6(60%)で50%以上下落していることから「著しく下落した場合」に該当し、評価替え=減損処理をする。
よって、評価替えの金額は(300円-120円)×1,000株=180,000円
※「有形固定資産の減損処理」とは異なり、「有価証券の減損処理」の場合、勘定科目は『投資有価証券評価損(特別損失)』を使用する。
(2)Q 繰越利益剰余金 4,000,000 / J 未払配当金 2,000,000
/ M 利益準備金 200,000
/ N 別途積立金 1,800,000
『繰越利益剰余金からの配当』は配当金の10分の1(2,000,000×1/10=200,000円)を「利益準備金」として、資本準備金と利益準備金の合計残高が資本金の4分の1になるまで積み立てないといけないが、決議事項の「利益準備金 200,000円」がその積立額であり、200,000円を積み立てることから準備金が資本金の4分の1に達していないことがわかる。
(3)S 修繕費 500,000 / E 建物 500,000
通常、固定資産の修繕を行った場合、固定資産の価値を高めるために支出した部分を固定資産に加算し(資本的支出)、固定資産の能力を維持する・低下させないために支出した部分を当期の費用(修繕費)として計上する(収益的支出)。
(当期に処理した間違った仕訳)
建物 2,000,000 / 現金預金など 2,000,000
(正しい処理)
建物 1,500,000 / 現金預金など 2,000,000
修繕費 500,000 /
よって、建物500,000円を修繕費に振り替える(修正する)必要があるため解答の仕訳となる。
(4)K 貸倒引当金 30,000 / D 完成工事未収入金 1,500,000
T 貸倒損失 1,470,000 /
債権が回収不能となった場合で、①先に『貸倒引当金』の残高がある場合はそれを取り崩し、②残りを『貸倒損失』として計上する。
貸倒損失:1,500,000円-30,000円(貸倒引当金)=1,470,000円
(5)G 工事未払金 3,000,000 / A 現金 2,985,000
/ U 仕入割引 1,500
「工事未払金の割引」は言い換えると「仕入れの割引」になるので、仕入割引:1,500円、支払額は3,000,000円-1,500円=2,985,000円となる。
第2問(12点)各4点
(1)¥ 100,000
『未払利息(負債)』の期首残高80,000円が貸方にあり、当期末には60,000円になっているので、20,000円が取り崩されている。
よって、当期に支払った利息120,000円のうち20,000円は「前期に既にP/Lに未払計上されていたもの」なので『P/Lの支払利息の金額』は120.000円ー20,000円=100,000円となる。
(仕訳)
・支払:支払利息 120,000 / 現金預金など 120,000
・取崩:未払利息 20,000 / 支払利息 20,000
(2)¥ 300,000
減価償却費:(3,600,000ー0)÷9年=400,000
8年目期首の減価償却累計額:400,000×7年=2,800,000
8年目期首の工事用機械の帳簿価額:3,600,000ー2,800,000=800,000
固定資産売却損:800,000ー500,000=300,000
(仕訳:間接法の場合)
現金預金など 500,000 / 工場用機械 3,600,000
減価償却累計額 2,800,000 /
固定資産売却損 300,000 /
(3)¥ 180,000
本店の『名古屋支店勘定』は本店が名古屋支店に投資している債権を表した資産勘定のようなもの。
もともと名古屋支店勘定の残高が160,000円(借方)あり、減価償却費20,000円を名古屋支店の負担としたのだから、名古屋支店に対する債権のようなものの金額は160,000+20,000=180,000円となる。
単純に仕訳するとわかりやすく、
(本店の仕訳)
減価償却費 20,000 / 減価償却累計額 20,000
名古屋支店 20,000 / 減価償却費 20,000
よって、「名古屋支店勘定の借方残高」は160,000+20,000=180,000円となる。
(4)¥ 7,500,000
工事進行基準において、「見積りが変更された場合」は変更後の原価等により「当期までの完成工事高合計」計算し、「過年度までに計上した完成工事高」を差し引くことで求めることになるので、以下のように計算する。
(前期)
完成工事高:50,000,000 × 4,000,000 ÷ 40,000,000
(請負金額) (前期原価発生額) (前期の総見積原価)
= 5,000,000
(当期)
完成工事高:(50,000,000 × 6,500,000 ÷ 42,000,000)
(請負金額) (当期原価発生額) (当期変更後総見積原価)
- 5,000,000 = 7,500,000
(前期完成工事高)
終わりに
今回の第1問、第2問ともに例年通りの難易度だったのではないでしょうか。
「第1問」は解説にはいろいろ書きましたが、単刀直入に仕訳だけを問う問題なので、あまり深い設定等は考えず、単純に与えられた問題文に素直に回答しましょう。
「第2問の(1)・(3)」は貸借を間違って失点してしまっては勿体ないので、暗算せずT勘定を下書きして丁寧に解きましょう。
「第2問の(4)」は見積もりの変更ですので、身構えてしまうかもしれませんが、単純に変更後の当期までの完成工事高合計を求め、そこから過年度までに計上した完成工事高合計を差し引くだけなので覚えておきましょう。工事進行基準は2020年4月に改正を控えた論点なので今後注意が必要です。
次回は第3問と第4問をアップする予定です。
➤アップしました。
➤第27回建設業経理士試験 2級 解答・解説 -まとめ-の記事へのリンク
第27回建設業経理士試験の問題と解答用紙は主催機関である「一般財団法人 建設業振興基金」のホームページにアップされています。
(建設業振興基金ホームページの過去の試験問題のページ)
https://www.keiri-kentei.jp/exam/past/
※このページの解答・解説は会計知識向上のため当ブログ独自の見解・考え方をメモ・記録したものであり、
専門学校などの専門家の組織体のような素晴らしく完璧な解答・解説ではございません。
また、解答・解説・主催機関の見解・結果等を保証するものでもございません。
解答や解説に誤り等があっても当方では一切の責任を負いませんので、その点をご留意・ご了承のうえ、
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