第27回(2020年(令和2年)9月13日実施)建設業経理士試験 1級-財務諸表- 第5問の解答・解説
今回は2020年9月13日に実施された第27回建設業経理士試験の1級-財務諸表-試験の第5問の解答・解説を作成してみました。
解答
第5問(36点)
解説
第5問(36点)
(1)
【リース料支払時の処理の修正】
支払利息 360/仮払金 2,620
リース債務 2,260/
支払利息 :12,000×3%=360
リース債務:2,620ー360=2,260
【減価償却の処理】
未成工事支出金 2,400/機械装置減価償却累計額 2,400
12,000÷5年=2,400
(2)
【減価償却】
未成工事支出金 3,600/機械装置減価償却累計額 3,600
上記1以外の機械装置の金額 :52,000ー12,000=40,000
(40,000ー40,000×10%)÷10年=3,600
【減損損失】
機械装置減損損失 1,132/機械装置 1,132
①減損損失の兆候の認識
期末帳簿価格:40,000ー14,400(減価償却累計額)ー3,600=22,000
割引前キャッシュ・フロー総額:21,500
22,000>21,500 →減損の兆候あり→減損損失を認識する
②減損損失の測定
22,000ー20,868(回収可能価額(割引後キャッシュ・フロー総額))=1,132
(3)投資有価証券 300/繰延税金負債 90
/その他有価証券評価差額金 210
投資有価証券:5,300ー5,000=300
繰延税金負債:300×30%=90
その他有価証券評価差額金:300ー90=210
(4)退職給付引当金 190/未成工事支出金 190
販売費及び一般管理費 350/退職給付引当金 350
現場作業員の退職給付引当金の予定計算額
月額180×12ヶ月=2,160
2,160ー1,970(実際発生額)=190(減額必要)
(5)完成工事原価 237,000/未成工事支出金 237,000
未成工事受入金 4,400/完成工事高 279,400
完成工事未収入金 275,000/
完成工事原価:問題分より
完成工事高:750,000×(115,000+173,000+237,000)/630,000ー720,000×(115,000+173,000)/600,000=279,400
未成工事受入金:解答用紙の残高試算表の金額
完成工事未収入金:279,400ー4,400=275,000
(6)貸倒引当金繰入額 3,240/貸倒引当金 3,240
繰延税金資産 360/法人税等調整額 360
貸倒引当金繰入額:(18,000+275,000)×2%ー2,620(残高試算表)=3,240
繰延税金資産:1,200×30%=360(こちらだけでも取りましょう。)
(7)未成工事支出金 1,282/完成工事補償引当金 1,282
279,400×0.5%ー115(残高試算表)=1,282
(8)法人税、住民税及び事業税 5,442/未払法人税等 5,442
282,667(収益合計)ー265,726(費用合計)=16,941(税引前当期純利益)
(16,941+1,200((6)の損金不算入額) )×30%=5,442(千円未満切り捨て)
(9)当期純利益金額 11,859
①16,941×30%=11,859
②16,941ー(5,442-360)=11,859
③貸借差額
のどれかで算定する。
終わりに
今回は第27回建設業経理士試験の1級-財務諸表-試験の第5問について解説致しました。
いかがだったでしょうか?
第5問の難易度は例年並みもしくは少し見慣れない問題があったので少しだけ高い難易度だったのではないでしょうか。
第5問 (5)を落としてしまうと芋ずる式に残りの問題が正解できないので、最低でも(4)までと(6)の税効果は確実に得点したいところです。また(5)を解答することが出来れば(7)まで取れるので、解答できれば第5問は確実に合格ラインです。
(8)(9)は正解できる方は少ないので取れてなくても合否に影響はないでしょう。
これで第27回建設業経理士試験の1級財務諸表についての解答・解説は以上となります。
今回の試験は前回コロナウイルス感染拡大防止のため試験中止になったため、約1年ぶりの試験となりました。
前回の中止により学習のペースを乱された方、今回の試験はコロナウイルス感染拡大防止協力などの事情のため受験できなかった方など、いろいろな方がいらっしゃると思いますが、今回は「全体的な難易度」は例年並みもしくは少し易しめかと思いますので、今までめげずに努力されてきた方で今回受験出来た方については、努力が報われ合格を勝ち取ることが出来たのではないでしょうか。
とは言っても今回残念な結果になってしまった方もいらっしゃるかと思いますが、「建設業経理士試験」は難易度があまり乱高下するような試験傾向ではないため、次回以降に向けて努力し、試験の準備がちゃんと出来た方については合格を勝ち取りやすい試験だと思いますので、是非次回以降もチャレンジして頂きたいと思います。
まだまだ昨今の状況下が続くとは思いますが、ぜひ次回以降も無事に試験が実施されることを願っております。
➤第27回建設業経理士試験 1級-財務諸表- 解答・解説 -まとめ-の記事へのリンク
第27回建設業経理士試験の問題と解答用紙は主催機関である「一般財団法人 建設業振興基金」のホームページにアップされています。
(建設業振興基金ホームページの過去の試験問題のページ)
https://www.keiri-kentei.jp/exam/past/
※このページの解答・解説は会計知識向上のため当ブログ独自の見解・考え方をメモ・記録したものであり、
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