第29回(2021年(令和3年)9月12日実施)建設業経理士試験 2級 第3問・第4問の解答・解説
今回は2021年9月12日に実施された第29回建設業経理士試験の2級試験の第3問・第4問の解答・解説を作成しました。
解答
第3問(24点)
第4問(14点)
解説
第3問(24点)
問1
1.B(直接作業時間)
2.A(機械運転時間)
3.D(労務費額)
4.C(材料費額)
「工事間接費の配賦基準」に関する問題でした。
配賦基準は、工事間接費の発生と相関性を有する配賦基準を選ぶことが要件となりますので、問題文と関連性がある解答を選択することになります。
1.労務作業量 → 直接作業時間
2.タワークレーンの稼働時間 → 機械運転時間
3.労務副費 → 労務費額
4.材料副費 → 材料費額
これは知らなくても文章をよく読んで解答すると解答できた方は多かったのではないでしょうか。
問2
1.「工事完成基準」を適用しているので、9月末時点で未完成であるNo.202以外の金額を合計、計算して「完成工事原価報告書」に記入していきます。(現場共通費には予定配賦の金額を使用します。)
Ⅰ.材料費:1,230,000(前月 No.201)+380,000(前月 No.202)+30,000(当月 No.201)+50,000(当月 No.212)+250,000(当月 No.213)=1,940,000
Ⅱ.労務費:560,000(前月 No.201)+143,000(前月 No.202)+81,000(当月 No.201)+40,000(当月 No.212)+134,000(当月 No.213)=958,000
Ⅲ.外注費:3,800,000(前月 No.201)+520,000(前月 No.202)+382,000(当月 No.201)+69,000(当月 No.212)+652,000(当月 No.213)=5,423,000
Ⅳ.経 費:
① 直接経費:231,000(前月 No.201)+39,000(前月 No.202)+57,000(当月 No.201)+22,000(当月 No.212)+18,000 (当月 No.213)=367,000
② 間接経費:(40(当月 No.201)+15(当月 No.212)+30(当月 No.213))×@1,200(甲部門) + (30,000(当月 No.201)+50,000(当月 No.212)+250,000(当月 No.213)) ×15% = 151,500
③ ①+②=518,500
2.今度は1.で除外した未完成のNo.202の金額を合計します。
未成工事支出金(No.202):850,000(前:材)+235,000(前:労)+1,380,000(前:外)+104,000(前:経)+120,000(当:材)+42,000(当:労)+127,000(当:外)+26,000(当:直経)+20×@1,200(当:間経:甲)+120,000×15%(当:間経:乙)=2,926,000
3.現場共通費の予定配賦額の合計から<資料>3.(2)の現場共通費の実際発生額の合計を差し引いて当月の配賦差異を計算し、その金額に<資料>2.(2)の前月から繰り越された配賦差異を加減算して配賦差異の月末残高を計算します。
合計する際に、1.と2.を計算した勢いでNo.202の金額を除外してしまわないように注意して下さい。現場共通費のすべての合計額で予定と実際を比較します。
① 当月予定配賦額:(40(当月 No.201)+20(当月 No.202)+15(当月 No.212)+30(当月 No.213))×@1,200(甲部門) + (30,000(当月 No.201)+120,000(当月 No.202)+50,000(当月 No.212)+250,000(当月 No.213)) ×15% = 193,500
② 当月工事間接費配賦差異:①(予定) ー (119,400(甲)+73,200(乙))(実際) = 900(貸方)
③ 配賦差異月末残高:② ー 13,400(甲:繰越:借方) + 8,320(乙:繰越:貸方) = △4,180(借方=A)
「差異の計算の有利・不利、借方・貸方が苦手な方」は、予定ー実際の答えがマイナスなら不利(借方)、プラスなら有利(貸方)と機械的に覚えてしまいましょう。「不利=借方・有利=貸方が覚えにくい方」は「借りているから不利」「貸しているから有利」などイメージで覚えてもよいでしょう。
第4問(14点)
問1 ¥131
すべての金額を合計して、予定の走行距離で割って「予定配賦額」を計算します。
(860,000+540,000+1,085,000+642,000+137,000)÷25,000km=130.56 → @131円/km(円未満四捨五入)
問2 ¥19,650
これ以降は問1で算定した四捨五入後の@131/㎞を使用して計算することに注意してください。
丙工事への予定配賦額:@131/㎞×150㎞=19,650
問3 ¥17,220 記号 B
第3問は借方差異がAでしたが、この問題は逆のBとなります。注意深く問題文を確認するようにしましょう。
予定配賦額合計:@131/㎞×(630 ㎞+420 ㎞+150 ㎞+180 ㎞)=180,780
配賦差異:180,780-198,000=△17,220(借方=不利差異=B)
終わりに
今回は第3問、第4問が例年の位置と逆になっての出題でした。
「第3問」は、例年の第4問と逆になっていたので、第3問なのに分量が多いと驚いた方もいらっしゃったでしょう。
しかしそれ以外、前回は少し見慣れない問題だった記号問題も含め、今回は素直な問題だったため、落ち着いて出来た方は得点できたのではないでしょうか。
「第4問」は、問題自体は簡単でしたが、問1で予定配賦率を四捨五入して、それを基に問2以降を解答していく問題でしたので、四捨五入しないで解答してしまうとすべて失点してしまう可能性のある問題構成のうえ、問3の借方・貸方の記号が通常と逆という失点要素の多い問題でした。本試験の緊張の中、落ち着いて解答できたかがキモだったかもしれません。
次回は第5問をアップする予定です。
➤第5問の解説をアップしました。
第29回建設業経理士試験の問題と解答用紙は主催機関である「一般財団法人 建設業振興基金」のホームページにアップされています。
(建設業振興基金ホームページの過去の試験問題のページ)
https://www.keiri-kentei.jp/exam/past/
※このページの解答・解説は会計知識向上のため当ブログ独自の見解・考え方をメモ・記録したものであり、
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